細ハリスをいたわるやりとり
左右へ誘導する方法
魚は引っ張られた方向と反対に走ると聞きます。
次のようなやりとりを想像してみます。
自分の立ち位置よりやや左側沖にチヌがおり、左に向かって走られている最中だとします。こういう時は、右を向いてほしいわけです。
先の理解でいえば、竿を左に倒してテンションをかければ、嫌がったチヌは右に方向転換する理屈になります。
しかし私の経験では、実際にこれをやると、もっと左に泳がれてしまうことが多いように思います。
先程の状況で、チヌに右を向かせたいのであれば、私ならば竿を右に倒します。
私のイメージですが、左に走るチヌに対し、右に竿を倒してテンションを加えた場合、チヌの頭へ横もしくは斜め後ろ方向から力を加えることになる考えられます。
そのため、こちらが糸を出さずに耐えていれば、自然と頭がこちらを向いてくるのだと思います。
左に竿を倒した場合も、チヌに対し横または、左斜め前から力を加わり形になります。
しかし、左に走るチヌに対して左に竿を傾けたのでは、竿の角度を維持しづらく一定のテンションをかけ続けることが難しいため、誘導しにくいのだと考えられます。
竿を立てて浮かせる場合
竿を立ててタメることで魚を浮かすことができます。
腕力で浮かすのではなく、曲げ込んだ竿の反発力(復元力)で浮かすのです。竿は根元に近いほど太いので、元竿から曲げ込むようにすると竿のパワーを一層引き出せます。
浮かせようと竿を立てると、魚は底方向へ目掛けて走り抵抗するようです。これはまさに、引っ張られた方向と反対方向に走るという教えのとおりです。
根の荒いフィールドで、50cmオーバーのチヌなりマダイなりを浮かせるようと竿を立てる場合は注意が必要になります。怖いのはハリスの根ズレです。
一番ダメなのは、弱気になってレバーブレーキ(LB)で糸を小出しにすることです。
底の荒いポイントでこのようなことをすると、ほぼ根ズレでハリスをとばされます。
LBを使う時は、ギリギリまで耐えて竿の角度が限界に達した瞬間に、一気に糸を放出し、瞬時に竿を立て直すことがとても大切だと思います。
近くにテトラや沈み根がある場合
すぐ近くにテトラ帯やシモリがあるポイントでは、かけた魚は決まってそちらへ逃げようとします。
例えば15m右にテトラ帯(あるいは沈み根)があるのならば、かけたチヌは初動で右へ泳ぎ出すことが予想されます。アワセ後は、すかさず竿を左に倒して、チヌの頭を右に向けさせないことで先手を取ることができると思います。
引っ付かれた際の対処法
大型のチヌほど、ちょっとしたシモリに引っ付きます。引っ付かれた際は、根がかりしたように動かなくなります。
その場合は、無理に竿をあおらず、竿の角度を45度ぐらいに構え、張らず緩めずのラインテンションを維持します。
魚が動けば、竿先が動くので、それを合図に大きくゆっくりと竿を立て浮かせます。
これは大知昭さんが動画内で何度も披露しているテクニックです。大知さんの教え通りやってみると、面白いようにうまくいきます。
レバーブレーキ(LB)の使い所と注意点
竿を伸されて弾力を活かしきれていない時に、竿を立てる目的でのみ使用します。
やりとりの最中に締め込まれ、竿の角度がちょっと悪くなったからといって、LBで糸を小出しにするのは最も危険な行為です。
魚に締め込まれている最中なわけですから、つまり底を向いて走ろうと必死な魚を止めている拮抗状態にあるわけですから、このタイミングで下手に糸を出すことは自由に走る猶予を与える行為に等しいのです。当然根ズレのリスクが高まります。
LB使用のタイミングは、ギリギリまで辛抱し、竿の角度が限界に達する直前に使用するという使い方が望まいようです。
LBで糸を送る時には、必要な分だけを一気に送り、その瞬間に即座に竿を立てるようにします。
糸の放出時間は極力一瞬が好ましいようです。水中の魚の位置は変わらないまま、竿だけが立つというのが最高のイメージです。
ドラグが主役、レバーブレーキは脇役
基本的にはドラグが仕事をしてくれます。
ドラグを適切に設定しておくことで、LBの使用は尚更少なくなります。
ドラグもLBも、糸を出すという点においては同じ機能を果たします。
違う点は、ドラグは一定のテンションを魚にかけ続けるのに対して、LBは一瞬テンションがゼロになる点にあるといえます。
LBの使い方を誤ると、思っている以上に魚に走る自由を与えてしまい、本来ならば獲れたはずの大物をバラすという悲劇が起るかもしれません。
この記事を書くほんの数日前に、根の荒いポイントでかけた想定外の大物に、弱気になってレバーブレーキで道糸を小出しにした結果、見事にハリスを飛ばされた私のように。
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