強風はフカセ釣りの大敵
フカセ釣りではマキエとの同調が釣果を大きく左右します。その同調を妨げる最大の要因が横風になります。
横風があると海面1cm〜数cmに風によって作られた流れが生じます。潮の流れではなく、風によって作られた流れです。
このイメージでは釣り人の右から左に風が吹いている想定です。潮は釣り人の左から右に流れています。
マキエは潮に乗って釣り人の右側に溜まります。けれど、仕掛けは風の影響を受けて左へ左へ流れようとします。
ゆえに同調ができなくなるのです。これは二枚潮でも同様の現象が生じます。
【二枚潮について】
海面の流れに道糸がとられ、風下へと道糸は膨らんでしまいます。そして、膨らんだ道糸が仕掛けを引っ張るという構図です。
その結果、マキエと異なる軌道で仕掛けが流れ、同調から外れてしまいます。
道糸に生じる横風の影響を、いかに排除できるかが課題となりそうです。
横風強風対策
1.ウキと道糸を水面直下に沈める
ウキや道糸を水面直下に1cmでも沈めると、風の影響をずいぶん抑えることができます。
深く道糸を沈めなくとも、道糸にかかる表面張力を取り除く程度でも影響を軽減できます。
また、道糸の表面張力をなくすことで仕掛けのなじみもスムーズになるはずです。
ウキは00や000など、やや沈みやすいウキが扱いやすいです。半遊動でも余浮力を殺して、ウキを水面直下に入れると、風の影響をかなり軽減できます。
半遊動で余浮力を無くす方法は、ウキの浮力よりも重いガンダマを打つことです。Bのウキならば、B +ジンタン3号のようにするだけです。
半遊動でも、ウキが水面直下に沈む程度では視認性は阻害されません。
道糸を沈める方法は、仕掛け投入後、すぐに穂先を少しだけ海中に突っ込みます。そして、リールを巻くか、空いた方の手で道糸を引っ張ることで強制的に道糸を水中に沈めることが可能となります。
2.道糸を風上に置く
風にとられた道糸が風下に大きく膨らむため、仕掛けが道糸に引っ張られ、手前に寄ってしまいます。
つまり仕掛け投入時点で、道糸を大きく風上に置くことができれば、それだけ風によって生じる影響を遅らせることができます。
横風が強い時は、道糸を常に風上に置くように心がけます。
この時はウキの左側に道糸を置いています。
関連記事:フカセ釣りにおける道糸の置き方について
3.ラインメンディング
道糸を風上に置いたとしても、 時間の経過とともに風下に膨らんでしまいます。
そのため、ラインメンディングという道糸操作が必要になります。
道糸が風下へ膨らんだら、竿を高く持ち上げて道糸を水面から持ち上げます。そのまま風上側に竿を倒して、再び道糸を風上側に置くようにします。
穂先からウキまでの道糸すべてをメンディングする必要はありません。仕掛けをズラさない範囲で行います。
4.仕掛け投入点を変える
風に取られた道糸は仕掛けを引っ張り、仕掛けを手前に寄せてしまいます。
それならば、風でズレてしまうことをあらかじめ見越して、初めから仕掛けの投入点を調整しておきます。
例えばマキエ投入点に対して、風上の斜め45度沖に仕掛けを投入するとします。風の影響を道糸が受け、仕掛けは手前にずらされます。すると、ちょうどマキエ投入点に仕掛けが入るという形になります。
5.自分の立ち位置を変えてキャスティング
自分自身が風上方向に1〜5m程度移動して、そこから仕掛けを投入します。こうすることで風上にかなりの角度を作って道糸を置くことが可能になります。
仕掛け投入後、元の立ち位置に戻っても構いません。よほど風が強い時は移動したままライン処理を行うこともあります。
6.仕掛け投入時にできる道糸のふけを解消する
横風が強烈な時は、仕掛け投入時に道糸が風下に大きくふけてしまいます。そのままだと、すぐに潮下にウキが引っ張られてしまいます。
ウキが着水する前後にスプールから放出される道糸を止めつつ、竿を風上に強く煽ります。こうすることで、ふけた道糸を真っ直ぐに戻します。
あるいは竿を煽る際に、リールを巻きながら強引に道糸を直線に戻す方法も有効です。
7.ガン玉を追加して仕掛けを重くする
簡単かつ有効な手段となります。
仕掛けがなじみやすくなり、潮をしっかり掴むことができます。
横風が強いという状況では、ガン玉を針近くに打つよりも、ウキ近くに打つ方が効果です。
こちらでも詳しく触れています。
・【フカセ釣り・横風対策】ライン操作と海水によるホールド機能の利用
8.マキエ、仕掛け投入点を近くに設定する
横風が強い場合などの難しい状況では、遠投せずに近距離を釣ることも一つの対策となります。
近距離といっても30m程度ならば、少々横風が強くても、上潮が速くてもなんとかなります。
基本的に仕掛け投入点が近いほど、道糸管理が容易になります。そして、放出された道糸が短い分だけ、風の影響を受けづらくなります。
9.穂先を海中に突っ込んだままにする
強烈な横風に押されて穂先は曲がりっぱなしだし、竿を持つこと自体大変だし、穂先から海面までの道糸は風にとられるし、という状況もあります。
そのような時は、穂先を海中に突っ込んだままにしておきます。
この写真の時は穂先のみを海中に浸けています。その状態で道糸を送りつつ、アタリを待っています。穂先が水中にあることで、道糸が風にとられにくくなります。
もっと風が強くなると、より深く竿を突っ込みます。
この時は#3ぐらいまで突っ込んでいます。竿の半分は水中にある状態です。
アタリは穂先でも分かりますが、この時は手前の膨らませた道糸で判断しています。
竿先を水中に保持することで、強烈な横風の中でも竿を持つことが楽なります。そして、アタリも問題なく分かります。